パステルカラーの恋模様

教室に戻ると、先生は読書ノートを忘れたことを軽く怒った。


「入試の書類なんか忘れた時にゃあ、先生、どうにもできないんだから。学校だから大目に見てもらえるけど、これからはそうはいかないんだからな」



と、ぐだぐだ説教した。


でも、あたしがやたら元気がないので、「ま、誰にでも間違いはあるから。二度目はないぞ」と慌てて頷いて、あたしの肩を叩いた。



はぁ、肩が重い。


席に戻って、帰りのHR。

あたしは窓の外を眺めた。



雲がぽっかり浮かんで、ぷかぷか気持ちが良さそう。

冬なのに、五月の空みたい。



気がついたら、学級委員が「起立」と声をかけていた。

皆、だるそうに立ち上がり、礼をして「さよ~なら~」と独り言みたいに呟いた。



教室はとガヤガヤと騒がしくなり、ばらばらと皆帰っていく。



「みーその!」

「へっ?」



明日香は鞄を持って、あたしを見ていた。

そして、「はい、これ!あげる」と、あたしの手に何かを置いた。



「チョコレート?」



それは、金紙に包まれたミルクチョコレートだった。
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