パステルカラーの恋模様

「美園、あえて言わないようにしてたんだけど…何かあったら言いなよ?あたしでよかったら、いつでも相談乗るからさ」

「明日香……」



明日香はあたしの肩に手を置いて、しっかりとした顔で頷いた。



あ、今度は肩が少し軽い。

あたしは、手のひらのチョコを、まるで本物の金のように、大事に包みこんだ。




「ん。ありがとう」

「だーから、水臭いっつの!」

「あ、痛ぁ!」



ぴこんっとでこぴんされて、あたしはおでこを押さえて笑った。

明日香は、「じゃあ、部活行くね!また明日」と言って、何度も手を振って、教室を出て行った。




さて。

あたしは、深呼吸した。


2回、3回…。5回して、よしっと気合を入れた。




いつも通り。

うん。




いつもみたいに、『啓ちゃーん!』って飛びつこう。

笑おう。
< 196 / 257 >

この作品をシェア

pagetop