パステルカラーの恋模様
「美園、あえて言わないようにしてたんだけど…何かあったら言いなよ?あたしでよかったら、いつでも相談乗るからさ」
「明日香……」
明日香はあたしの肩に手を置いて、しっかりとした顔で頷いた。
あ、今度は肩が少し軽い。
あたしは、手のひらのチョコを、まるで本物の金のように、大事に包みこんだ。
「ん。ありがとう」
「だーから、水臭いっつの!」
「あ、痛ぁ!」
ぴこんっとでこぴんされて、あたしはおでこを押さえて笑った。
明日香は、「じゃあ、部活行くね!また明日」と言って、何度も手を振って、教室を出て行った。
さて。
あたしは、深呼吸した。
2回、3回…。5回して、よしっと気合を入れた。
いつも通り。
うん。
いつもみたいに、『啓ちゃーん!』って飛びつこう。
笑おう。