パステルカラーの恋模様
一旦下駄箱で靴を履き、中庭に向かう。
中庭の木々が、裸で寒そうに凍えている。
池もどうやら凍っているようで、あたしはぼんやり、鯉たちの事を思った。
ベンチには、啓ちゃんがちょこんっと座っていて、あのマフラーをして、腕をさすって、あたしが来るのを待っていた。
あたしは心の中で呪文を唱えた。
“イツモドオリ”
「啓ーっちゃん!」
「あ、キタ」
あたしは、「待った?啓ちゃんのクラス終わるの早いね」と言いながら、啓ちゃんの隣にどかっと座った。
啓ちゃんは、微笑んで、「そう?」と返した。
二人並んだ。
ちまっと。
気まずくならないためには、まず、沈黙を作らない事!
「ねぇ、啓ちゃん、池の鯉ってどこ行ったの?まさか、この中で凍ってんのかなっ?!」
「鯉の…氷付け?」
「やだ、可哀相~」
啓ちゃんは、真剣に鯉の心配をしてるようだった。
あたしは、何となくやるせない気持ちになって笑い、本題を持ち出した。