パステルカラーの恋模様
「ごめんね、わざわざ!あたし、キーホルダーなんて落としたっけなぁ」
「あ、そうそう。待ってて」
あははーっと後ろ頭を触るあたしを見て、啓ちゃんは笑って、鞄を探った。
そして、「はい」っとキーホルダーを渡してきた。
花柄の茶色いうさぎの、マスコットキーホルダー。
「………」
あたしは、それを見て、固まった。
でも、不思議そうにしてる啓ちゃんの顔を見て、すぐに笑った。
「あ~っ!ありがとう。これ気に入ってたんだ。よかったぁ…!うっかりやさんだなぁ、あたし!あはは…」
「可愛い、それ」
啓ちゃんが笑う。
あたしは唇を噛んで、何も答えずに、それをポケットにしまった。
沈黙。
だめじゃん、美園。
沈黙は作らないって決めたのに。
言葉というものを忘れてしまったみたいに、何も言えなくなってしまった。