パステルカラーの恋模様

卒業アルバムの中の二人が、頭の中で笑ってる。



どうして涙が止まらないんだろう?

あたしは、どうしたらいいんだろう。



足が鉛になったみたいだ。



二人して、声をあげて泣いていると、隣の家の人が帰ってきて、じろじろ見られた。

それでも、あたし達は泣いていた。




先にその場を離れたのは、あたしの方だった。




結局啓ちゃんは現れなくて、あたしは帰りのバスに揺られて、ぼーっと外を眺めていた。



日が沈む。

ゆっくり、ゆっくり落ちていく。



泣き疲れて、ぼーっとする。




降りるバス停に着き、あたしは、小銭を出して、両替した。

運転手さんが、「ども」と小さく呟いて、頭を下げた。



バスを降りると、バス停のベンチに誰か座っているのに気がついた。

その人は、あたしに気がついて、微笑んだ。
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