パステルカラーの恋模様
本当にひとり
ごめんね。
あたし、啓ちゃんの幸せを素直に願えるほど、いい子じゃない。
でも、こうやって距離を置いて、離れていたら、
きっといつか願える日が来るのかな。
すごい勝手だと思われるかもしれないけど、あれしか方法が思いつかなかったんだ。
気持ちも伝えたし、悔いはない。
いや…悔いは数え切れないほどあるけど、でも、やるべき事はやった。
後は、啓ちゃんの問題だ。
そんな風に自分に言い聞かせて、あたしは今日も学校へ行く。
バスに揺られながら、あたしは外を眺める。
車が慌しく通り過ぎ、木々も寒そうに震えている。
バスの定期を出そうとブレザーのポケットに手を入れると、あの鍵がない事に気がついて、本当に返しちゃったんだ、と実感した。
繋がりがなくなっちゃった。
昨日、屋上で別れてから、啓ちゃんから電話もメールもない。
私は携帯を握り締めた。
意味わかんないよね。
割り切るために、けじめをつけるために、啓ちゃんの本当の幸せを願うために、こうやって関係を絶とうとしてるのに、
あの時、本当はあたし、啓ちゃんが呼び止めてくれるのを、追いかけてきてくれるのを、連絡をくれるのを、待ってたのかもしれない。
今も、少し。