パステルカラーの恋模様
振り返って、あたしは眉を垂らした。
そしてすぐに眉をつりあげて睨んだ。
そこにいたのは、鮫島だった。
「…え」
あたしの表情に、鮫島は困惑している。
ロボットのようにかちこち動きながら、後ろ頭をかいて、わざとらしく笑った。
「いや、ごめん…。何かアイツの真似してみた」
「あっそ!」
あたしはツンっと背を向けて、下駄箱で靴を履き替え出した。
鮫島は「おい、何怒ってんだよ!」とあたしを追いかけた。
あたしは「別に!」と返し、スタスタ歩き出した。
やだ、あたし、啓ちゃんだと思った。
すっごい期待してた。
やっぱり、無意識に啓ちゃんを探してしまう。
会いたいと思ってしまう。
両想いじゃなくても、会いたいって。
そう思ったらまた泣けてきそうだったから、わざとらしく何度も咳払いした。
無視して帰ろうとするあたしに、鮫島が叫んだ。
「お前ら、何があったか知らないけどさ!」
思わず足を止める。