パステルカラーの恋模様
Chapter 9
やっぱり君がいい
「啓~ちゃん!」
あたしは精一杯の笑顔を作って啓ちゃんの名前を呼んだ。
すると、二人はハッとあたしを見た。
啓ちゃんは微笑み、愛美さんは、「何でこの子が来るの?」といった顔で、啓ちゃんを見た。
そんな露骨に嫌そうな顔しないでよ。
あたしは、話聞いたら、すぐ帰るから……。
きっと啓ちゃんは愛美さんに、あたしが今日ここへ来る事を知らせてなかったんだろう。
それは、愛美さんを不安にさせないため……?
でもそんな事より、今、あたし、啓ちゃんの顔を見てるんだ。
栗色の柔らかい髪。
少し寂しそうな瞳。
長いまつげ。
ほんのり色づいた頬。
ゆるめたネクタイ。
……ねぇ、どうしてあたしのあげたマフラーしてるの?
まだ期待させるの…?
顔を見るだけで色んな気持ちが溢れてくる。
ああ、やっぱり好きだなぁ。
泣くな、泣くな、あたし。
笑え。