パステルカラーの恋模様
「啓ちゃん、遅れてごめんね……愛美さんも」
三人はトライアングルを形作ってお互いの顔を伺う。
夕方の公園は静かで、今日は子供一人いない。
古びたブランコが風で揺れ、シーソーがギィギィ音を立てている。
しばらく続いた沈黙を破ったのは、愛美さんだった。
「啓、どういう事?話って、何…?」
え?愛美さんにも話があるの?
愛美さんにはまだ話してないって事?
あたしは状況がよく理解できずに、ただ黙って啓ちゃんと愛美さんの顔をちらちらと見た。
啓ちゃんは静かにあたし達を見て、呼吸を整えてから、話し出した。
「俺、本当に女々しい奴で、ちゃんと、ふたりと向き合ってこなくて、本当にごめん」
眉を垂らして言う啓ちゃんの、『ごめん』に、目の前がぐらっと揺れたような気がした。
愛美さんも同じように困惑している。
「ちゃんと答え出せなくて、ごめん」
啓ちゃんはまた、ごめんって言った。すると愛美さんは、啓ちゃんの腕を掴む。
「啓、ごめんってどういう事…?ちゃんと話してくれなきゃ分かんないよ…」
「……ごめん」
「啓…ごめんじゃ分からない。このままじゃ、苦しいよ…あたしも……」
愛美さんは声を震わせた。
あたしは、いやに冷静だった。
愛美さんが啓ちゃんの腕を揺らす。
何度も強く揺らす。