パステルカラーの恋模様

啓ちゃん、啓ちゃん、啓ちゃん………。

好きだよ、好きだよ、世界で一番、大好きだよ。



諦めないでよかった。

あたし達、気持ちが通じ合えたんだよね?




愛美さんは何も言わずに唇をかみ締めて、目をこすり、あたし達に背を向けた。


「…愛美!」

啓ちゃんが呼び止めると、愛美さんは小さく足を止めた。



「……ありがとう」

愛美さんは俯き肩を震わせながら、大きく頷いた。




好きだったんだよね、愛美さん。

すごく、すごく、好きだったんだよね。啓ちゃんの事。



ごめん。

でも……啓ちゃんは譲れない。




あたしが、啓ちゃんを幸せにするから。

絶対、哀しい顔させないから。




だから、ごめんなさい。





愛美さんの姿が見えなくなるまで、あたし達はそのまんまで立ち尽くした。
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