パステルカラーの恋模様
「やったぁ~!あたしの勝ち~!」
「…くそ~!美園、もう一回!あと一回!」
「ねっ?ねっ?」と、目をつむり手を合わせて、最後まで悪あがきしようとする啓ちゃんに、あたしは舌を出した。
「だーめ!あっ、もう映画始まるよ!行こ、行こ」
ちぇっと口を尖らせてふてくされる啓ちゃんを引っ張って、あたし達は最上階の映画館へと向かった。
ポップコーンと、ジュースを買って、受付を通る。
「右側奥の5番シアターになります」
チケットを切ってもらい、言われた通り、5番シアターに入る。
「えっと、Fの…9と10だから……」
チケットを見ながらやっと席にたどり着き、椅子に座った。
啓ちゃんがポップコーンをつまんで、「楽しみだね」と笑った。
あたしも頷いて、ポップコーンをつまむ。
あ、ポップコーンも何か、啓ちゃんっぽいお菓子だな。
そしたらやっぱ、美味しそうにポップコーンを食べてる啓ちゃんって共食い?
「…美園、何ニヤニヤしてんの?」
「別に?何でもないよ。あっほら、暗くなった」
?を飛ばして首を傾げる啓ちゃんを見て、あたしはまたニヤけた。