パステルカラーの恋模様

映画が始まると、二人とも映画に集中した。


笑ったり、ドキドキしたり、ハラハラしたり、きゅんっとしたり、ラブシーンの時はちょっと気まずくて、わざとらしく鼻を触る啓ちゃんに気づいて、あたしも何だか恥ずかしくなった。



クライマックスの方になると、やっぱりお涙頂戴な展開になってきて、会場からすすり泣く声がちらほら聞こえだした。



あたしもじわっと目に涙を溜めながら、横をちらっと見ると、啓ちゃんは普通にぼろ泣きで、口をふにゃふにゃさせていた。



あたしは手に持っていたハンカチを、何も言わずに啓ちゃんの手に渡した。

啓ちゃんも何も言わずに受け取って、目の涙を拭いた。





映画が終わると、会場からよかったねぇ~とか、感動した~とか、声が次々に溢れ、皆席を立っていく。



映画観た後って、どうして何かこう、切ない気分になるんだろう。

余韻に浸りすぎて、すぐに言葉が出せない。



啓ちゃんも何か同じように思ってたみたいで、何も言わずに微笑んで頷き、一緒に会場を出た。



「さて、どーしよっか!」

「お店回る?」

「そーだねっ」



そんなわけで、あたし達は、ぶらぶらお店を回る事にした。
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