パステルカラーの恋模様
ワン!


え?

本物の犬の声が聞こえた。

同時にガチャっとドアが開いた音がしたと思ったら、犬があたし目掛けて駆けてきた。


「わっ」

飛び掛られて、思わずしりもちをついた。


「いったたた…」

「あ、早かったね」

「啓太!ね、ねぇ、どうしたの?このわんちゃん!可愛い〜!」



啓太は制服のまま。

犬は嬉しそうにしっぽを振って、啓太の元へ戻っていった。



啓太はしゃがんで犬を抱き上げた。

あたしも思わずハイハイして、啓太の元へ行き、犬の頭を触った。



この犬はミニチュアダックスフンドだ。

しかも、もへもへふわふわの子犬!

たまらない可愛さ。



「何かさ、近所に住んでる人ん家で子犬が産まれたらしくて、一匹くれるっていうからもらったんだ」

「そうなんだ!でも、このマンション、ペット大丈夫なの?」

「ん。全然へーき。さっきオーナーさんと会って、可愛い犬だねって言われたくらいだし。ちなみに名前はもう決めた。たんぽぽみたいな色だから、ポポちゃん」

「ポポちゃんかぁ、いいね。可愛い」


あたしは啓太からポポちゃんを受け取って、抱っこした。

潤んだ瞳でじっと目をみてくるポポちゃん。



な、何なの、この可愛さ〜?!
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