パステルカラーの恋模様
あたしの胸は一気に高鳴り、足が震えた。


先輩は友達と二人。

あたしはちょうど角の所に立っているので、先輩達からは見えていない。


緊張する…。何て言おう。


『この前のお話、こんな招待券もらったんで、一緒にいきませんか?』

うん、これでいこう。



笑ってくれるかな。先輩、受け取ってくれるかな。



先輩のハスキーな声を聞くと、胸がきゅーっと締め付けられて、やっぱり好きだなと思った。


勇気を出して、一歩踏み出した。

そして先輩に声をかけようと思った時、



「お前さ、あの子、何だっけ?名前」

「ああ、美園ちゃん?」


え?

話の中にあたしの名前が出てきてびっくりして、あたしは足を止めて、息を潜めた。



「どうなの。あの子もモノに出来そうなわけ?」


…“も”って?


「マジで余裕。もう目がハートだもん」

「ぎゃはは、ハートかよっ!」



何の話?


「でも可哀相にねぇ。見事にひっかっかちゃって。お前も悪い奴だよなぁ~何人騙してんだか」



え?


「今、何人目?使い捨てカノジョ」



……使い捨て…?



「人聞き悪い事言ってんじゃねぇって。みんな俺が好きなんだからいいんじゃね?悪いことはしてねぇーよ」


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