パステルカラーの恋模様
啓太はそのまま先輩達の前まで出て行った。


「あ?何だ、お前」


先輩達は啓太を睨みつける。

啓太はにんと笑って、ゆっくり先輩に近づく。


「先輩達、女の子を泣かしたらいけないって、小学校で習わなかった?」

「は?何言ってんだ、てめぇ…」


その瞬間、啓太の拳が直樹先輩の頬を殴り飛ばした。


「うわっ!!」


勢いよく倒れこむ直樹先輩を見て、もう一人の先輩が「てめぇ!」と勢いよく、啓太の顔を殴り返した。


!!


「…やめて!!」


気がついたらあたしは、喧嘩を止めに、先輩達の前まで躍り出てしまっていた。

皆が一斉にあたしを見る。


直樹先輩は倒れこんだ体制のまま、一瞬驚いて、きっとあたしを睨んだ。



「聞いてたのかよ…」

「……」

「聞いてたのかって言ってんだよ!」



びくっとして、ぎゅっと目を瞑った。



怖いよ、いつもの先輩じゃない。

信じてたのに、いい人だって、優しい人だって、信じてたのに…。



涙がこみ上げてきて、大粒の涙が頬を伝った。

何も言い返せない。



「本気だった?俺が、お前みてぇなガキ、本気で相手にするわけねぇだろ」



分かってるよ…。

そんなの、分かってた。



だけど、好きだったんだよ…。


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