パステルカラーの恋模様
「…だ、大丈夫よ!もう全然!あんな奴、こっちから願い下げ!」
慌てて喋りまくるあたしを、啓太はじっと見ていた。
「美園、余裕なくなると唇乾くでしょ」
「えっ?!」
「よく舐めてるから」
…嘘、そんな所まで気づいてくれてたの?
自分でも自覚なかったのに…。
「あんま、無理しないでね?」
啓太…。
あたし、何か変かも。
このロマンチックなシチュエーションのせい?
茜色が幻想的なせい?
ドキドキする。
「ほ、本当に大丈夫だから!ね、それより傷…。やっぱり痛そう」
あたしは啓太に近づき、口元の傷を近くで見た。
「しみる?絆創膏あったかな…」
鞄を探る。
ポーチの中にあったかな?
その時、急に腕をつかまれた、と思った瞬間。
啓太の唇があたしの唇に触れた。
目も閉じるのを忘れた。
啓太とのキスは、少し血の味がした。