パステルカラーの恋模様
……キス、したんだよね、あたし達。



動物園に行った日、観覧車の中でキス。



あの日から、あたしはおかしい。

啓太の事を意識してしまう。



何が変わったってわけじゃないけど、今までとは、明らかに違う。

啓太も男の子だったんだよな、って実感したりして。



「美園?聞いてる?」

「…えっ?!ああ、うん、聞いてる!」

「あ、ちょっと待って。これやっちゃうから」



軽々とフライパンを扱い、ソースの味見をしたりする啓太。


ああ、だめ。やっぱり唇に目がいっちゃうよ~!

あたしって…ケダモノ?!



しかも男の子が料理してる姿って、ちょっとキュンとしちゃう。

って!もう、あたしったら、やっぱりケダモノ~!?




だけどポイントなのは、”意識してる“のは、あたしだけって事。


だって啓太はあんな事があっても、態度変わらないし、普通なんだもん。



『何でキスしたの?』


って、聞きたいけど、聞けない…。



啓太は絶対、けろっと笑って、『何となくだよん』って言うに決まってる。



あたしだけその気になっちゃって、何かバカみたい…。


もう忘れよう!


あれは事故。

あれは、気の迷い。



きっと茜色の魔力で、場の流れでそうなっちゃっただけ。
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