パステルカラーの恋模様

本気になったら負け?

「はぁ〜」


日曜日。

あたしは家にいる。


気の抜けた部屋着で、本当に効いてんのかって疑問に思いつつも、子顔ローラーなんか使いながら、部屋をウロウロ。


決めた!今日は、啓太の家には行かない。行くもんか!!

っていうのには、ちょっとワケがあって…。


それは昨日の出来事。


昨日―


「美味しい!これ、美園が味付けしたの?」

「ま、まぁね」


希望通りの肉じゃが。

ほくほくのジャガイモのせいか、幸せそうに顔をほころばせる啓太。


そこまではよかったんだけど…。


啓太ママの前で、いつになくおしとやかになったあたしを面白がって、啓太がよけいな事を口走ったんだ!



「花嫁修業、第1歩だね」


ちょ、ちょっと待てーーっ!

啓太ママはまた、「やだぁ~熱~い!」とキャアキャア言っている。



ママさんの前で言うなんて…!意地悪!最悪…!


「ねっ」


しかも、啓太ママに同意求めてるし!


慌てるあたしにおかまいなしに、啓太ママは微笑んで、「ほんっとね!じゃあ、将来は啓ちゃんのとこにお嫁に来てもらおうかなぁ~」とノリノリ。


啓太は笑うのを堪えながら、あたしを見て、勝ち誇った表情を見せた。


おのれ、マシュマロ~!!

誰がアンタんとこに嫁にいくもんですか!



啓太ママから向けられるキラキラの視線がチクチク。

あたし、絶対、家庭的で優しい彼女とか思われてるし…。


あ〜もう~!


そんな空気にあたしは耐えられなくなり、食後、啓太ママが誰かと電話してる時、あたしは啓太の耳をひっぱって、「ちょっと!」と呼んだ。
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