パステルカラーの恋模様
気がつくと啓太はおじさん達の所へ駆けつけていた。


「俺、手伝います!」

「おっ、にいちゃん、若者の手があると助かるよ!」


ええっ、だ、大丈夫なの?

啓太は細腕だし、あのゴミ、すごく重たそうだけど…。



「んじゃ、持ち上げるよ。せーのっ、よいしょー」


ふらふらと持ち上がるゴミ。あーあーあ~…大丈夫かな。

あたしは何だか、ハラハラドキドキ。



「あーっ一人たりねぇや!誰か…」


「いや、僕がこっち一人で持つんで。そっちしっかり持ち上げてください」



啓太が思いっきり持ち上げると、斜めになっていたゴミが水平になった。




へぇ。

何だ、啓太、意外と力あるんだ。


汗を時々ぬぐいながら、重たいゴミを運んでいく啓太。



その背中が何だか男らしくて、あたしは不覚にもドキドキしてしまった。



おじさん達に、「よくやったな、坊主!」なんて言われて笑ってる啓太は、何だか輝いて見えたんだ。





あたし達は、その後もしっかりゴミを拾った。


少しずつだけど拾えば、確実に街は綺麗になっていった。



それが実感できた時、何だかすごく嬉しかった。

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