パステルカラーの恋模様
カーカー。

ああ、陽が落ちる。

空はグラデーションのように、オレンジ色に染まり出した。


カラスが低く空を飛び、弧を描いた。

まさに、センチメンタル。


「……」

「美園?」

「…へ?」


気がついたら啓太に顔を覗きこまれていた。

はっとするあたし。



「お疲れ。あ~ちかれた~」


啓太はそう言って笑い、思いっきり伸びをした。

あたしもつられて、思いっきり上に手を伸ばした。気持ちがいい。


「ねぇ、美園。昨日の事だけどさ」

「え?」

「怒った?」


啓太の横顔がオレンジ色に染まっている。

あたしも前を向いたまま、「別に、怒ってなんかないよ」と答えた。


くやしい、とは思ったけどね。


「何か、契約とかって言いくるめちゃうのも、寂しいじゃない」


啓太はそう呟いた。

“せっかく何かの縁で一緒にいるんだし”そんな事を言いたいのかな、と思った。

契約…。一緒にいると、そんな事も忘れちゃうけどね。

いつでも辞められる、とか、意地悪な事も考えたけどね。


「ねぇ、美園」

「んー?」

「…愛って、何?」


「はっ?!」


あたしは声を裏返し、思わずこけそうになった。


何言い出すんじゃい!



啓太はやたら真剣な顔で眉をひそめ、顎に手をやっている。
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