パステルカラーの恋模様
「俺さ、よく分かんないだよね。恋とか愛とかって。どこからが好きで、どこからが好きじゃないのか。恋愛感情?家族の愛?友情としての好き?とかさ、色んなのがあって、何か、難しいよ」


「……」



やっぱり、啓太の言う事って、よく分からない。

胸がざわめくじゃないか。


啓太は少し黙ってしまった。

啓太…?



「でも…大好きな人に裏切られた時の哀しみだけは、分かるかな。何ていうか、心の底から込み上げるみたいな」



それは……どういう意味?

あたしはその言葉を聞いて、固まってしまった。



啓太は過去に、大切な誰かに裏切られた事がある…とか?

啓太って、意外と自分の話しないから。



聞きたいけど、あたしなんかが触れていい話じゃない気がする。

だけど想像が膨らんで、膨らんで、あたしは黙りこくってしまった。



すると啓太が「美園」と名前を呼んだ。

あたしはゆっくり横を見る。



すべてが、スローモーションだった。

ゆっくり、ゆっくり、流れていく。



すると啓太は少しずつ顔を近づけてきた。



ぱっと頭に浮かんだ、観覧車。

そういえば、今日の空はあの時の空に似ている。


あの、不思議な力を持った、空の色。



あたしは、そっと目をつぶった。
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