パステルカラーの恋模様
「ちょっと寝なよ。帰る時は、あたしが送ったげるから」

「ん…」


啓太は目をとろんとさせ、目を開けたり閉じたりを繰り返した。


そして、少し沈黙が続くと、啓太は完全に目を閉じた。



長いまつげ。

この啓太の寝顔を見て、あたしはあの日の朝を思い出した。



すぐ横にあった啓太の寝顔。

本当、とんでもない出会いだったよね。



その後、空き巣つかまえて、表彰されてさ。

まさか恋人のフリをする事になるなんて、思いもしなかった。

こんなに、仲良くなるなんて、思いもしなかったよ。



あれは、偶然?必然?

どっちだか分らないけど。



「…ねぇ、美園…」

「ん?」


啓太は目を閉じたまま、小さく呟いた。

あたしは顔を近づけ、耳を傾けた。



「この前…言った事……気にしないでね」

「え?」


この前…。


ああ、もしかして、愛がどうのとか、大好きな人の裏切りがどうのって、あれの事?
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