パステルカラーの恋模様
あたし達は、何とかしてナンパ二人から逃れられた。


「ああいうセリフ、一回言ってみたかったんだよね」



啓太はあたしにたこ焼きを渡してから、にひひっと顔全体で笑った。

あたしは、思わずそっけなく、「あっそ」と答えて少し顔をそっぽへやった。



だけど本当は、めちゃめちゃ嬉しくて、顔がニヤけてたから。



大分薄暗くなってきて、出店も何往復かして飽きてきた頃、啓太が「あっそうだ」とひらめいた。


「どした?」

「美園、花火やりたくない?」



あたしはべっこう飴を舐めながら、「ふぁなふぃ~?」と繰り返した。



「いや花火って、今、秋だよ?花火なんて売ってるわけないでしょ」

「いや、確か…コンビ二に売ってたよ。売れ残りの奴!」

「ああ、売れ残り…」


そんな啓太の曖昧な記憶を頼りに、あたし達はコンビ二に入った。


「ね~本当にあるの~?」

「なぜ、ない!おかしいなぁ~、次!」


1つ目のコンビ二はスカ。

2つ目もスカ。


もう、ないよ、と諦めかけた時、


「うそっ、あったぁ!」


3度目の正直!

3つ目のコンビ二に、やっと売れ残り花火を発見した。


あたし達は顔を見合わせて、にししと笑い、残ってる花火を全部とチャッカマンを買ってコンビ二を出た。


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