パステルカラーの恋模様
線香花火は、静かに赤く腫れあがり、小さくパチパチと火花を散らした。
あたしはそっと啓太の顔を見る。
すると、ぱっと目が合った。
「何?」
「いや、ううん…。綺麗だね、花火」
「うん」
どうしよう、余裕ない。
少しの沈黙が続き、花火のパチパチという音と、虫の鳴き声だけが響いた。
「へっくしゅん…」
肌寒くなってきた。
いくら花火をやっていても、今は秋。
つい忘れそうになるけど、今は夏じゃないだよなぁ。
すると、啓太があたしに黒いジャケットをかけてきた。
啓太の匂いがふわりと香った。
「えっ…いいよ、啓ちゃん!風邪ひいちゃうよ…」
「へっちゃら」
「へっちゃらって…っ、本当にいいから」
「よくない。美園が風邪ひいたらヤダもん」
まったく、病みあがりのくせに。
そんな事言われたら、あたし泣くよ?
嬉しすぎて。