パステルカラーの恋模様
「…ありがと」
「素直でよろしい」
「ぷ、何それ」
満足気に微笑む啓太。
そして、もう一本線香花火を出して、火をつけた。
それから左腕をひざの上に乗せ、そこに顎をうずめた。
「ねぇ、美園。何かあった?」
「え?」
啓太が真っ直ぐな目で、じっとあたしを見てくる。
ドキッとした。
あたしは唇を舐めようとして、やめた。
「べ、別に、何もないよ」
「そう?」
「うん」
啓太には、皆お見通しなのかな。
ねぇ、啓ちゃん。
あたし今、上手に笑えてる?
「お見舞い、嬉しかった。いつも、ありがとう」
あれ?
“ありがとう”の言葉って、こんなに嬉しかったっけ?
啓太の優しい声に、包まれて、あたしは口をへの字に曲げてしまった。