パステルカラーの恋模様

「何?入部希望?!マジで大歓迎だよ!」

「えっ?!あの…っ!」


「そんな緊張すんなっ!取って喰いやしないから!いやー、俺たちもさぁ、むさくるしいヤローばっかで寂しくて。ボーカルはどうせなら女の子にやってもらいたいっつーか!」


「いや、あのっ違くて~!」



さあさあ、どうぞ!とばかりに、大歓迎を受けたあたし。

違う~!どうしよう!


そんな時、奥の方から声がした。


「あれ?お前、何してんの?」

「あーーっ!!いたーーっ!」

「えっ、隼人、知り合い?」



入部希望じゃなく、人探しで来ただけと知った坊主達は、何だ~と肩を落として、それぞれ楽器を手に取り、練習を再開した。


そう、あたしは今日、鮫島隼人に用があって来たんだ。

あたし達はとりあえず場所を移す事にした。


渡り廊下で、鮫島はあくびをして訪問の理由を聞いた。


「で?何だよ、聞きたい事って」

「あ、うん」



今日、鮫島の所に来た理由は他でもない。

元カノ疑惑の話を聞き出すため。



あたしは、啓太が好きって決めたから。

ちゃんと聞いておきたいと思ったんだ。



別に、昔の話を引っ張り出して、どうこう言うつもりじゃないけど…やっぱり気になるよ。
< 96 / 257 >

この作品をシェア

pagetop