PRINCESS STEP
御曹司の気まぐれ
「…………………」
開いた口が塞がらない、とはこの事を言うのだと思う。
見上げる先には豪邸、高くて大きい門。門をくぐってすぐ、噴水まである。
水代、いくらかかるんだろう………。考えるだけで恐ろしいわ!!
「あたしは何故こんなところにいるんだ…」
此処につれて来られた理由を聞きたい。
あぁ…泣く子も黙る『姫龍』の総長であるあたしが何故…。もう何故としか言えない自分が虚しい。
「なぁ、アンタ何のつもりで……」
「優、だよ」
「………は?」
質問とは斜め上を行く回答に、あたしは思わず気が抜けてしまった。
なんだか、異星人を相手にしてるみたいだ。なんか、疲れた………もう、どうにでもなれ……
考えるのもめんどくさくなり、とりあえず優についていく。
玄関らしきものを通り、中へ入ると、広間のような場所に出た。
「早速部屋に案内するよ。靴は履いたままで平気だよ」
靴を脱ごうとしたあたしを優は小さく笑って止める。
恥ずかしい…。まさに一生の恥だ。