PRINCESS STEP
「俺の勘って、案外当たるもんなんだよ」
そう言ってウインクをかます優を呆れた顔で見つめる。
「勘かよ」
そこは、可愛いとか、綺麗だったとか、一目惚れだ、くらい言え!!
「絶対に不自由させない。それに、君が欲しいモノなら、何でもあげる。ねぇ、俺のプリンセスになって?」
「お前………」
優の言うプリンセスっていうのは、すなわち嫁さんになれって事だろ?
それを、勘だとか、御曹司の気まぐれであたしを選ぶっていうなら、あたしは願い下げだ。
「優、あたしの名前は知ってるか?」
「あぁ、そういえば聞いていなかったね」
ほら………。所詮、優にとってあたしは、そういえばで済んでしまう程度の女なんだ。
「悪いが、あたしは、与えられるばっかりは気にくわねぇし、何より、名前すら興味ももってない奴と、添い遂げたいとは、思わない」
あたしは、優を睨み付け、その体を突き放す。