PRINCESS STEP
「…今日は無性にだりぃな…」
何でか?そんなん分かってる。今日は、顔も会わせたくないクソババアとジジィ(注:母と父)が帰ってくる日だからだ。
あいつら、小学生のあたしを置いて世界一周旅行に出掛けたっきり音信不通で、死んだかと思ったらつい昨日LINEが来た。
母:菜智ちゃーん、HELLO!!明日反りまーす((o(^∇^)o))
おみやげ買ってきたからねーっ☆
あいつ等、何年も放置しておいて、どの面下げて帰ってくんだよ!!
「よしっ!一人散歩でもすっか。あたし、今日は抜けっから、お前ら好きにしてろ」
あたしはサッと立ち上がり、スタスタと歩き出す。
「えぇぇぇぇっ!!!菜智さん今日は暴れないんすか!?というか、バイクは!!?」
そそくさと帰ろうとするあたしの背中に向かって佳奈は慌てたように叫ぶ。
「あたし達『姫龍』とまともにやり合える奴なんかもういないだろ、今日は解散だ解散!」
ここら辺の縄張りは、あたし等『姫龍』が制圧した。あたし等に対抗出来る族は、今や存在しない。
そして、あたしは夜の闇に姿を消した