PRINCESS STEP
「……ゆ、……優……」
頬を真っ赤に染めたあたしを優は満足げに見つめる。
くぅ………屈辱っ!!!
「合格!!」
そう言って優は、恥ずかしくて顔を上げられないあたしを抱きしめてきた。
「なぁ!?ちょ、調子に乗るな!!」
優をおもいっきり突き飛ばす。
隙あらば、これだ。油断ならないし軽い奴だな!!
「ぐふっ………。菜智、痛いじゃないか…まぁ、そんな所も気に入ってるんだけど」
殴られたってのに、コイツ笑ってやがる!!!まさか、そういう系統の………マゾ…
「俺、そんな素質無かったはずなのになぁ。菜智と触れ合う内に、目覚めちゃったかも?」
殴られたところを押さえながら、恍惚と笑う優に、心底鳥肌が立った。
「ふ、触れあったとか、やめろ!!」
「俺、痛ぶられて感じ……」
「それ以上言ったら殺ス!!!」
ギーンッ!!と殺気を放ち、優を睨み付けると、優は危険を感じたのか、立ち止まった。
「あ、あぁ!そうだ。菜智に紅茶を持って来たんだ」
優はそう言って紅茶を差し出す。
「……これ……花の匂いがする」
そうか、この匂いで目が覚めたんだった。
そう言って優から紅茶を受け取る。綺麗なオレンジ色と、良い匂いで、心が落ち着くのを感じる。