PRINCESS STEP
車で揺られること、20分、あたしの高校にたどり着いた。校門から見える学校を前に、優は立ち尽くす。
「…これは……」
優は呆然と学校を見つめると、ゴクリと息を呑んだ。
「なんか文句が、ありやがるんですか?」
あたしの問いに、優は爽やかな笑顔を見せた。
「うーん…これは…何かな?」
優は目の前にそびえ立つ恐ろしい建物を指差す。
何かな、と言われても、正真正銘、あたしの通う千条高校(センジョウ コウコウ)だ。
「そんなのも分からねぇんですか?学校ですよ学校」
あたひの言葉に「まさかとは思ったけど」と、優は苦笑いを浮かべた。
「薄々感づいてはいたけど、気のせいだと思いたかったなあわ。うん、カルチャーショックだよ」
目の前に立っているのは学校と呼ぶのには程遠い、スプレーで書かれた死ねの文字達。
千条高校の『千条』が黒スプレーで塗りつぶされ、『戦場』高校に書き換えられてる。
廃墟としかいいようがない、もしくは心霊スポットに成りかねない勢いだ。
「菜智、今すぐ転校しよう」
そう言って優はあたしの手をとり踵を返す。