PRINCESS STEP
「なんだぁ?上等なスーツじゃねぇかぁ」
一人の柄の悪い男が、路地裏でスーツを着た男性をなめ回すように見ている。
「兄ちゃん置いてけるモン全部置いてきな」
今度はサングラスをかけた男が現れ、スーツの男性のネクタイを掴むと、グイッと顔を近づけ、凄んだ。
「声出すなよ?抵抗すればどうなるか、わかるな?」
男の言葉にスーツの男性は何も答えない。それどころか、俯いているようにすら見える。
私は足を止めて、その様子を見つめた。
おいおい………まさか、ここでカツアゲか??つうか、あのスーツの男、微動だにしねぇけど、もしかしてびびってんのか??
「………まだ居たのか、あたしの縄張りで、好き勝手しやがって……」
あたしは、沸々と沸き上がる怒りに、腕の袖を捲った。