PRINCESS STEP
ご褒美
ー昼休み。
「てめぇ!!いい加減にしやがれ!ですわ!」
―ガサッ
琢磨に奪われたあたしは、あんパンを鬼の形相で取り替えした。
「……減点だ!てめぇじゃなくてあなただろーが!」
「しやがれ、じゃなくてしてくださいですよ」
琢磨と佳奈に指摘されあたしは深いため息をついた。
「…………無理だ」
無理だ限界だ!体に馴染んだ言葉使いをいきなり変えるなんて難易度が高い!!体に悪い!!
「……はぁ……」
こんなんでこれからやっていけんのか?
意気消沈して、あたしは椅子の上で体育座りする。
「頑張って下さい菜智さん!」
そう言った佳奈をじっと見つめた。
こんなあたしの為になんだかんだ佳奈はいつも力を貸してくれる。
なのにあたしが、弱気でどうするんだ。
「…悪い佳奈あたしは今無理だと諦めようとしてた。一度決めた事を諦めんのはただのクズだ」
「おいおい、そこまで言うか?」
苦笑いの琢磨を無視して、あたしは立ち上がる。
こんなどうしようもない事でも、真剣に付き合ってくれる仲間が、あたしは本当に好きだ。
「頑張りますから…これからも支えてくれです」
「菜智さん…もちろんです!今の敬語は前より全然良かったですよ!!」
佳奈とあたしは、顔を見合わせると、同時に笑顔を交わした。