約束のノート
翌朝。


「光一」


登校中に、美雪に声をかけられる。


「おう」


ふたりで肩を並べる。


「光一、やっぱり、あのことは言わないの?」


美雪が話を切り出す。


「ああ。隠せる限り、隠す」


「・・・いいの?」


「もう決めたことだ」


「そう・・・あたしは、あんたの意思を尊重するわ。あんたなりに考えているんだろうし」


「・・・サンキュー」


それきり、お互いに顔を背ける。


「なあ、美雪」


「何?」


「ありがとうな」


「いきなり何よ」


「そう言いたくなっただけだ。あんまり気にすんな」


終わりは、少しずつ近づいている。


ゆっくりと。それでも確実に。


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