約束のノート
次の日も、昼休みは図書室に行った。


「なあ、遥・・・前から思ってたんだけど、お前ずっと前から筆談できるよな?」


「・・・・・・」
うん、と頷く。


「ちょっと思うんだ。筆談だけじゃなくてさ・・・もっと、ジェスチャーなんかも交えたら、会話なんかもしやすいんじゃないか?」


『たとえば?』


「そうだなぁ・・・鼻に人差し指を押しあてるとか」


「・・・・・・・」
うーん、と考え込む。


「まあ、ためしにやってみろよ」


「・・・・・・・」
うん、と頷いて実行した。


鼻の頭に人差し指を押し当てる。


それで、ブタの鼻のようになる。


「ワッハッハッハッ!!面白いぞ、遥」


俺は大笑いした。


それで、ようやく気づいたようだ。


『だましたの?』


「気にすんなよ、そんな小さいこと」


もー、という顔をされる。


「そうだよ、表情とかでもさ。そうやって、自分の意思を伝えるんだ」


『努力はしてみるの』


「ああ。頑張れよ」


そうして、俺たちは過ごしていった。


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