約束のノート
「・・・・・・」


「・・・・・・」


俺と遥は、ふたりきりだった。


翔平はさっさと帰りやがった。


無言で歩く。


ふと、ぐい、と遥が俺の袖を引っ張る。


ちょうど、街灯の光が当たる場所だ。


「どうした?」


『どうして、かくしてたの?』


遥のノートに、信じられないことが書かれていた。


「何のことだよ?」


できるだけ平静を装って言う。


『ひっこすこと、どうしてかくしてたの?』


「お前・・・どうしてそれをっ」


と言いかけたところで、しまった、と思った。


『美雪ちゃんのお母さんが話してるのを聞いたの』


遥の顔が、瞬く間に憤怒の表情へと変わっていく。


『ばか』


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