約束のノート
そして。


俺の頬を。


ビシッとはたいた。


「・・・ごめん」


「・・・・・・」


『わたしだけ、知らなかった』


―――だから、怒ってるの。


そう続く気がした。


遥が怒る姿を、俺は初めて見た。


遥は、それきり何も言わずに、走って帰った。


俺はそれを、見送ることしかできなかった。


頬が、痛かった。


今までの、どんな痛みよりも。


ああ・・・そうか。


俺は、遥が大好きなんだ。


誰よりも。


だから、こんなに痛いんだ。


そう思った。


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