約束のノート
『ばか』


ノートを広げて、俺に見せる。


・・・片岡 遥という、女の子が。


俺の、大好きな女の子が。


「遥・・・お前」


『家に行ったら、学校に行ったって聞いたの』


強い瞳で、言葉を紡ぐ。


俺の元に来る。


『ごめんね』


叩いたことか・・・?


「いいよ。気にしてない」


にぱっと笑顔になる。


この笑顔のためなら、どんなことでもできる。


そう思えた。


「遥、好きだ」


だから、そう口にしていた。


「・・・・・・」


遥の顔が、赤くなる。


俺の顔も熱を帯びる。


少しの沈黙。


・・・気まずい。


遥が、ノートにペンで言葉を綴る。


『わたしも、すきだよ』


照れくさそうに綴った。


「・・・ありがとう」


「・・・・・・」 
うん、と笑顔で頷く。


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