約束のノート
「律儀な奴だなぁ、お前は」


呆れたような声。


それは、わたしに向けられていた。


顔を見上げる。


「ほら」


そう言って、ノートを差し出してくる。


『約束のノート』と、表紙にあった。


「バカな奴だな、お前は」


「・・・・・・」
・・・うん。


自分でも分かってるよ。


「でもな・・・」


照れくさそうに言った。


「ありがとう・・・待っててくれて」


「・・・・・・」
うん・・・。


「えっと・・・な、遥」


照れくさそうに、頬をかく。


「・・・・・・」
・・・・・・うん。


あのときと変わらない瞳で。


「好きだ。遥」


彼はそう言った。


その言葉に、わたしは。


< 130 / 131 >

この作品をシェア

pagetop