約束のノート
そして、学活の時間に。


配役決定のときがきた。


3クラス分の生徒がひとつの教室に集まっているので、狭い。


「静かに!」


俺たちのクラスの担任・通称ヒゲ先生が一喝する。


生徒たちは話すのをピタリをやめた。


ヒゲ先生は普段は楽しいひとなんだが、怒らせると怖い。


みんなそれを分かってるのだ。


「あー。今日は学芸会の配役を決定する。まずは主役をやりたい子はいるか?」


ヒゲ先生が挙手を求める。


・・・誰も手を上げない。


周囲から、セリフのない主役なんて、みたいな声が聞こえる。


この空気の中、手を上げるのは勇気がいる。


―――そんな中。


おずおずと手を上げる奴がいた。


自信なさげに。それでも頑張って。


「何だ?片岡。それは手を上げているのか?それとも手を伸ばしているのか?」


ああ・・・決心を揺らがせるようなことを・・・


「・・・・・・」
それに対して、ふるふる、と首を振る。


だが、ヒゲ先生はどちらに対して首を振ったのか分からない様子だった。


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