約束のノート
「そうよ。あんな奴の言うことなんて、気にしちゃダメよ」


少し落ち着いて余裕ができたのか、美雪も遥を励ます。


「・・・・・・」
・・・うん。


やはり弱々しい。


「・・・・・・」


それきり、皆黙ってしまう。


森野のあの態度を見る限り、おそらくやめる気は無いだろう。


俺たちが文句を言ったものだから、余計に反発心をあおってしまった。


さらにエスカレートする可能性もある。


不意に、遥の顔が崩れる。


「・・・・・・」


頬を伝った涙が、ポタリと机の上に落ちた。


「遥っ・・・」


さっきからずっと耐えていたのだろう。


泣きじゃくる遥を、皆で必死に励ます。


「大丈夫だっ・・・俺たちがいるからっ・・・」


俺は、そう言うしかできなかった。


・・・結局、問題は解決できず、遥を傷つけただけだった。


それを実感する。


(くそ・・・・・・)


文句を言いに行くにしても、遥を傷つけずにやれる方法があったはずだ。


俺にできるのは、遥のそばにいてやれることだけ。


・・・本当に、自分に対してムカツク。


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