約束のノート
学芸会の練習の時間。


ウチの学校は、けっこうこういう行事には熱心だ。


「お前ら、しっかり頑張って、客を泣かせろよっ!!」


・・・特にヒゲ先生が。


「なんであんたらの担任って、行事になるとあんなにアツいの?」


休憩時間中に、美雪が訊いてくる。


「俺に訊くなよ・・・」


『でも、たのしいの』


「まぁね・・・あのひとは面白いひとだけど」


休憩時間に、4人で一緒にいる。


全員、額から汗がにじんでいる。


「翔平、踊れ」


「いや、いきなり訳が分からないんだけど」


「ちなみに、阿波踊りな」


「踊らねぇよっ」


「翔平・・・踊りなさい」


美雪が割り込んでくる。


「じゃあ、お前が踊れよっ。この暴力女っ」


・・・・・・ブチッ!!


・・・何かが切れた気がする。


「う~ん。あんた、いつからそんなクチが聞けるようになったのかしらねぇ~。ん?」


笑顔のまま、美雪が言う。


「えっ!?い・・・いや、これは言葉のあやで・・・」


「遥、危ないから下がってろ」


「・・・・・・」
・・・うん。


困ったような顔の遥と一緒に、美雪から少し離れる。


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