約束のノート
声のない少女

不器用な女の子

翌日。


俺は昼休みに、図書室に来ていた。


漫画を読むためだ。


読みたい本を見つけ、さあ読もう、としたときだった。


遥が、漫画を読んでいた。


ひとりきりで。


傍らには、サインペンとノートが置かれていた。


昨日とは違うやつだ


友達とかいねぇのかな・・・


まあいいや。ちょうどヒマだし、話してみよう。


「よお。同じ学校だったんだな」


俺の声に応じて、顔を上げる。


そして、サインペンとノートを取り出した。


『こんにちわ』


「ああ、こんにちわ。どんな漫画、読んでるんだ?」


表紙を見せてもらう。


普通の少女漫画だった。


「ふーん」


『こういちくんは、どんなまんが読むの?』


「俺か?俺はコレ」


俺が見せたのは、『学園タキシード』という漫画だ。


「タキシードが制服の、ヘンな奴らが集まった学校の漫画なんだ。面白いんだぜ、コレが」


それを皮切りに、俺たちは昼休みいっぱい使って、漫画の話に没頭した。


話をして、俺が笑い、彼女も笑う。


彼女の笑顔を見るたびに、俺も嬉しくなった。


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