約束のノート
試合の後、共に戦った8人が集まる。


「ごめんな、山本」


裕二が、山本に謝る。


それを聞いて、遥の顔が曇る。


「ううん、いいよ。皆、頑張ってくれたんだから・・・」


「でも・・・」


「それに、遥ちゃんと友達になれたし」


・・・いつの間に。


図書室にいたころからは、考えられなかったこと。


もう、遥はひとりで友達を作れるんだ。


「遥ちゃん、わたしも、悪役として頑張るからねっ」


笑顔でそう言う。


「そうだぞ、稲村」


ヒゲ先生が割り込んでくる。


「主役だけが、劇じゃないんだ。お前らがいるから、いい劇になるんだ。誰かひとり欠けても、成り立たないんだ」


「・・・・・・」


その言葉で、裕二は踏ん切りがついたようだ。


「・・・はい」


力強く頷いた。


「そして、片岡」


遥の方を見て言う。


「主役として、恥ずかしくないように、頑張れ」


「・・・・・・」
はい、と頷く。


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