SAKURA-優しい愛と大きな輝き-

 『笑わないでよ?』
 『笑わない。』
 『あのね・・・。私、お父さんに虐待されていて。
  熱湯かけられたり。それで、お母さんはいつもごめんね。ごめんねって
  泣きながら言うの。何度か助けてくれたけど、お父さんのほうが力強いし、
  駄目だった。それに、家をでてみたりしても駄目。
  ある日、お父さんは、交通事故で死んだの。
  お母さんはね、やっと解放されるねって言ってくれた。
  でも、毎晩泣いていた。私は知ってたんだよね。
  それで----っっ。』
涙がでてきた。
大輝をみると真剣な目をして聞いてくれている。
 『お母さんは、私を孤児院にやったの。楽しい場所だから。
  おとなしくしていてねって。私、お母さんに捨てられたの。
  だから・・・お母さんやお父さんみたいにならず強く、強く生きて、
  自分を見失い人になろうって。』
涙があふれてくる・・・。
 『優愛ちゃんは、お母さんの事嫌いなわけ?』
大輝がしんけんに聞いてくる。
 『嫌いだよ。大嫌い。憎すぎるよ。』
だって私を捨てたのだから。
 『なら、なぜストリートライブしているわけ?
  歌手になりたいわけじゃないの?
  お母さんと同じ夢を追い続けるんじゃないの?』
え・・・。
 『・・・そうだよ。それがどうかしたのッッ?!』
 『あんたは、お母さんを尊敬している。
  すてられたけど、何度も助けてくれて。』
大輝ってなんかすごい・・・。
 『そうかもしれないね・・・。』
 『お前、一生、歌い続けろよ!歌っている姿のお前が一番好き。
  輝いているんだよ。』
・・・なんで大輝は私の事を知っているんだろう。
ストリートライブしているって。
 『昨日、不思議な男の人に会ったの。その人は、恋はくだらなくないって。
  素敵な物だって。その男の人が恋している相手はいつも悲しい瞳を
  してどこかを見てて、自分を見失わない人だって。
  きっと彼は、彼女の自分ってことを分かっていて、見失わないところに
  惚れたんだろうね。』
 『あぁ。きっと、そうだろ。つか、絶対そうだろ。』
ん?
なぜ大輝が断言できるのだろう。
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