【短篇】こ い い ろ 。
「でもさ、お前俺のこと嫌いだろ」
「うん嫌い、大嫌い。だって喋らなくなっちゃったし」
「それは……仕方ねーだろ」
「あとモテるし」
「それも仕方ねーよ」
「好きな子いるって言ってたじゃん」
「だから、それがお前なんだって!」
「ふーん……あのさぁ、私もさ、」
……私も、好きだよ。
なんて言って、照れて顔を隠せば、彼が豪快に笑ってふわりと抱き締めてきた。
「……ちょ、」
「もうさ、絶対離さねーよ」
俺の初恋、やっと叶った。
そんな彼の言葉が耳に入る。私は彼の背中に腕をまわす。
……私の初恋も、やっと叶った。
そして私は、大嫌いな初恋相手と 二回目のキスを交わした。
01 end