【短篇】こ い い ろ 。
ああ、まただ。
昼休み、このちゃらけた雰囲気の漂う1年C組のクラスに誰か来たかと思えば大抵が女の子。
そのほとんどの子が「斉藤君」に用があってのご訪問。
その斉藤君とは、そう。
今私の目の前で笑ってる、斉藤裕也のことだ。
「おい、裕也。呼び出し」
つん、と前を向いて眉間にシワを寄せる私の隣にいた金田が友達とふざけ笑っている裕也を呼ぶ。
裕也は金田が指差す方を見て、「おう」と言ってその女の子の元へすたすたと歩いて行った。