【短篇】こ い い ろ 。
 





「大好きだよ、結城」
そう言って笑う彼の声も、目も、鼻も、眉も、口も、頬に触れられた時の手の温かさも、
もう何から何まで全部、私の胸を焦がしたまま。


月日が流れ、そんな彼の姿はもう二度と見られなくなってしまった。
彼の隣は私の特等席、だったのに。
いつしかそれは、あの子の特等席になっていて。




 
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