【短篇】こ い い ろ 。
 



……で、今に至る。

泰輔の手を塞ぐものはない。私の手を塞ぐのは二人分の鞄ふたつ。
つまり、私がじゃんけんに負けたのである。


「ねーもうこれやめようよー泰輔ー」

「……」

「泰輔ー」

「……お前が提案したんだろ」

「そうだけどさー」


普通彼女に持たすかよーとぶつぶつ言ってると「持たすよ」とさらりとした返事が返ってきた。


 
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