【短篇】こ い い ろ 。
「なんで?!もっと大切にしてよ!」
「それより俺が貸したCDを大切にしてよ」
「してるじゃん!」
「返ってきたの1ヶ月後だし、ケースヒビ入ってたし」
「あれは……お姉ちゃんが踏んじゃったの」
「お前に姉いないじゃん」
「うるさいな、私とCDどっちが大切なのよ」
「勿論CDだけど」
はぁ〜?!と言って私はずっと背を向ける泰輔まで追いついて、追い抜かし、前に立ち、腰を屈めて顔を覗く。
「なにそれ、なにそれなにそれ」
「だってうるさいし」
「うるさくないもん、泰輔が最近元気ないから元気になってほしかっただけだもん」
「……ふーん」